2011年5月21日土曜日

循環物色続く株式、日米の金融政策リスクには目配り

 [東京 7日 ロイター] 7日午後の東京市場は小幅ながら株高/債券安。株式市場では循環物色が続いており、高値警戒感が指摘されながらも、底堅さをみせている。
 背景には相場を支える流動性があり、この日も、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録や日銀の声明をめぐって、金融政策の方向性に関して様々な観測が流れた。
 <流動性に期待、国内勢は利益確定売り>
 株式市場では日経平均が小反発。海外株式市場や為替市場が落ち着いた動きとなったことで先高期待から買いが先行したものの、戻り売りや利益確定売りで伸び悩む展開となっている。「銀行、不動産などの出遅れセクターに海外勢の買いが入っている一方、上値では国内勢の利益確定売りが圧迫している。為替は落ち着いているものの、全体は足踏みの印象だ」(コスモ証券エクイティ部次長の中島肇氏)という。
 6日発表されたFOMC議事録は、景気見通しが悪化すれば米連邦準備理事会(FRB)が予想より長期にわたって超低金利を維持する可能性を示唆する内容となり、米金融株を押し上げた。この流れが日本の金融株にも波及した。
 日銀の動きについては「あす発表の2月機械受注や3月景気ウォッチャー調査で堅調な数字が予想されるなど景気は改善方向にあるが、白川方明総裁がマーケットの低金利継続予想を修正させるような発言をする可能性は小さいだろう」(かざか証券市場調査部長の田部井美彦氏)との見方もあり、世界的に流動性相場の持続を意識させる状況になっている。
 大和住銀投信投資顧問投資戦略部長の門司総一郎氏は「先行して買われてきた輸出関連や資源関連株には利益確定売りが出ている一方、内需関連に資金がシフトして物色はうまく循環している。引き続き押し目買い意欲が強く、大きな下押しはない」とみている。門司氏は「前週は新年度入りで新規資金が流入して上昇した部分もあったが、今週はそれが一服しているのではないか。先行して買った投資家は銘柄乗り換えのタイミングとなっているようだ」と話している。 
 <円債、日銀声明で売りも> 
 円債市場は米債市場の流れを受けて小反発して始まったが、午後に入ると、やや売り物に押された。
 FOMC議事録で低金利を長期間維持する方針が示されたことを確認できたが、米債への警戒感は消えていない。みずほ証券?シニアマーケットアナリストの野地慎氏は「米債の需給をつかみきれないでいる。投資家は、7日の米10年債入札の結果待ちの姿勢」と話す。国内でも、前日の10年債入札に続き、スプレッドがタイトになる中、政府保証債や地方債の発行があるため、需給面は緩みがちになるとみられている。
 日銀は金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.1%前後に据え置くことを全員一致で決定した。一方、声明では景気の現状について「国内民間需要の自律的回復力はなお弱いものの、海外経済の改善や各種対策の効果などから持ち直しを続けている」とした。
 三菱UFJ証券シニア債券ストラテジストの長谷川治美氏は「日銀は、海外経済の動向が想定より上振れて推移している認識を示した」と読む。4月下旬での追加緩和を一部で期待する声もあったが、同声明を受けて、そうした思惑は縮小する可能性もありそうだ。 
 <「長期間」の扱い> 
 為替市場でドル/円は94円前半での取引。ユーロ/円の売りが波及して売られたあと、93円半ばの下値が堅かったことから跳ね返されて94円台を回復した。市場では、新たなレンジを摸索する途上にあるとみられている。
 米金融政策に関しては為替市場でも話題になっている。
 FOMC議事録では、一部メンバーが早期金融引き締めのリスクのほうが長く待ち過ぎるリスクよりも大きいとの考えを示すなど「ハト派的な内容だった。米利上げ期待で先走りかけていた市場を落ち着かせる方向で作用している」(住友信託銀行マーケット?ストラテジスト、瀬良礼子氏)。
 一方、異例の低金利政策に関する「長期間」という表現については「経済見通しが著しく悪化するか、インフレ基調が一段と低下しているようであれば、政策引き締めまでの期間はかなりの期間続き、さらに長期化する可能性がある」としている。同時に「このような見通しの提示は、迅速に金融引き締めを開始するFOMCの能力を制限しない」とした。
 バークレイズ?キャピタルのエコノミスト、ディーン?マキ氏は、「長期間」という文言がもはや時間軸の意味を持たず、声明から削除される道が開かれたとして「FOMCは、言い回しの精神を侵さず文言を削除した後、じきに引き締めを開始する可能性もある、という解釈になる」と話している。 
 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者:編集 宮崎亜巳)

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引用元:ラテール rmt

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